山梨 Life Style 18 山中湖の静けさと地の利に惹かれて九州の実家を移築して暮らしています。

竹森健一さん(1943年生まれ) なつゑさん(1946年生まれ)

移住派
竹森健一さん(1943年生まれ) なつゑさん(1946年生まれ)

Takemori’s Woodwork
定年後に目覚めた木工。古民家の雰囲気に合わせた巣箱や鳥のえさ台を作った。表札や庭木の柵など、手作りはどんどん広がっていく。「ここではおのずと木工をしたくなる。仕事が忙しかった時代には考えられませんでした。人間は住む場所によってさまざまな興味をかきたてられ、また思わぬ力が湧いてくるものだとつくづく感じますね」。えさ台脇の水盤は、実家で使っていた餅つき用の臼だとか。

Takemori’s Woodwork

友人がたくさんでき交流も頻繁に

 竹森健一さんは、九州・太宰府の出身。「長男として実家を受け継ぐことは、かねてから決まっていました」
 定年退職後は、そのどっしりとした実家の古民家を守るために、九州に戻るのが当然と思っていました。けれど、首都圏に勤務しているお子さんたちのことが気がかりですし、東京に住む、なつゑさんのお母さまの介護もあります。現実的に考えると、ご夫妻で九州に移り住むことは難しい……。
 考えに考えた末、住まいのある川崎からそう遠くないところに、実家を移築することを思い立ちました。
 移築場所の条件は、川崎の住まいから150㎞以内、車で1~2時間の距離。頻繁に行き来することを考え、できれば交通費の負担が少ないところ。そして、古民家が似合う環境であること──。欲ばりに思えるその条件にぴたりと合うのが、山梨県の山中湖村でした。
 「ここは本当に静か。富士山が目の前にあり、少し歩けば湖が広がっている。田舎の家にしっくりくる環境です。それに、車での移動もラクだし、高速バスも通っている。山中湖〜東京駅間の高速バスの片道料金は1700円で済むんですよ」。竹森さんご夫妻の心は決まりました。
 移築そのものはとても大変な作業でしたが、いざここに建て直し、住んでみると、「正解でしたねぇ」と健一さん。実家は、見事に山中湖の自然に溶け込んでいます。その暮らしはとても穏やか。都会生活は効率、効率、また効率だけれど、ここではゆっくりと自分の好きなことに没頭できます。多忙な会社員生活からリタイアした健一さんだからこそ「プライベートにたっぷりと時間が使える今の生活に、とても満足しています。古民家に似合うような、ポストや鳥のえさ台作りなど、作りたいものが次々に出てきて、暇を持て余すことなどありません」。
 なつゑさんも、「ここにいるときは、趣味のパッチワークを一日じゅう楽しむことだってできるんです。ゆったりとした時間の流れがうれしいですね」。
 タンスの中で傷んでしまったお姑さんの着物を細く裂き、パッチワークでタペストリーによみがえらせることも、なつゑさんのライフワークになっています。
 「そして、もう一つのうれしい誤算。それは、ここに来てから、たくさんの友人ができたことです」と、おふたりは口をそろえます。近隣には、竹森さんご夫妻のように、移住や二地域居住をしている人たちがたくさんいます。少し話をすれば、あっという間に打ち解けるとか。山のサークル仲間はすでに10人以上。近隣の山に週に1回登るほか、富士登山をすることもあるとか。
 山梨に住みはじめて6年。週末だけの行き来の期間を経て「現在は、住民票も山梨県に移しました」と健一さん。介護や自宅の管理などで、週のうち3日は首都圏に出かけていくなつゑさんも「こちらでのお友達関係がすごく楽しくて。なんだかお年玉をもらったみたいな気持ちです」とほほ笑みます。
 山中湖で暮らすようになってから、ご夫妻の役割分担もだいぶ変わりました。「都会生活では夫が仕事、妻が家事という分担でしたが、今は家のことに携わることが楽しくて。まさにリボーン、生まれ変わった気分ですね」。そう語る健一さんの笑顔は、輝いていました。

生まれ育った古民家が、山梨でよみがえる。家に似合う庭づくりも楽しみのひとつです。

 広すぎた生家を少しこぢんまりさせて移築した住まいは、見事に山中湖の自然に溶け込んでいます。太い梁を生かした吹き抜けの土間には、薪ストーブを置いてリビングに。かつてお母さまの結婚式もしたという広い和室には、ゆかりの家具を納めて。持ってきた庭石を生かしながら、庭に敷石代わりに丸太を埋め込んだのは、健一さんのアイデア。緑の小道が完成です。

趣味のパッチワークをたっぷり楽しみ 山の仲間との富士登山で心と体に栄養を。

 たんすに数多く残っていた健一さんのお母さまの着物や長襦袢。傷んでいて着られないならと、細く裂いてパッチワークに。ブルー系の着物を集めて作りはじめたキルトは、川の流れをモチーフにしています。「義母のことを思いながらひと針ひと針縫い進めていると、時間を忘れます」。パッチワーク、山歩き。都会では時間がなくてなかなかできなかったことも、ゆったり楽しんで。

持ってきた庭石を生かしながら、庭に敷石代わりに丸太を埋め込んだのは、健一さんのアイデア。緑の小道が完成です。

食器類は生家のものをそのまま使う。婚礼もできるほど種類が豊富。漆塗りの椀も用途に合わせて数種類。

ダイニングキッチンの奥には和室。梁や欄間の美しさも古い家の特徴。照明だけは家に似合うものを購入。

右の漆の引き出しに古い漆器を納めた。左の照明は、生家にあった花瓶にシェードと電球をつけたもの。

移住してすぐに地元の登山仲間のサークルに加入。「こちらに来て初めて山を歩いた」というなつゑさんも、すぐに溶け込み、毎週、山へ。

去年の秋には、物干し竿を利用して干し柿を作った。古民家にすんなりなじむ風景。

今年、世界遺産登録直後に富士山に登った。七合目から見る夜明けの山中湖に見入る健一さん。「人が少なくて、静かな登山でした」

ブルー系の着物を集めて作りはじめたキルトは、川の流れをモチーフにしています。

 
 
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