美しい風景、豊穣の大地、そして心温かい人々…。
田舎暮らしに不可欠な要素がすべてそろった山梨は、
二地域居住にも永住先としても、とても魅力的な場所ですね。
甲斐適生活応援隊会長
佐藤 彰啓
- profile
- 1944年岐阜県生。農村の在り方や地域おこしの仕事に従事した後、1990年「ふるさと情報館」設立。田舎暮らしアドバイザーとして、自然豊かな地域での暮らしを求める人々の支援とそれによる農村の活性化を目指しての多彩な活動を展開。自らも山梨に魅せられて八ヶ岳南麓にセカンドハウスを建築。東京との二地域居住を楽しんでいる。
経済が発展途上にある段階では誰も彼もが経済の中心である都会を目指すのですが、社会が成熟してくると、人々は田舎には田舎の良さがあることを再認識するようになります。週末の田舎暮らしが定着しているヨーロッパはそのよい例ですね。
最近は日本でも、現役時代は都会で働き、リタイア後は、自然豊かな田舎で、ゆとりや潤いのある時間を過ごしたいと考える人々が増えています。これは社会が成熟してきた証と言えるでしょう。
ただし、生活習慣にしろ、人間関係にしろ、いろいろな面で違いがありますから、いきなり完全移住というのはリスクを伴います。そこで、現役のうちから余裕を持って場所を探し、セカンドハウスを構えて、行ったり来たりの二地域居住をしながら少しずつ慣れていくことをお勧めしているのですが、本当はもっと早く、子育ての段階にこそ、そういう生活が必要なのだと思います。子供を育てるには、田舎の環境は理想的ですからね。
若いうちから2つも拠点を持つなんて無理だとお考えの方もいらっしゃるでしょうが、たとえば、通勤や通学に便利な都心のコンパクトなマンションで暮らしながら、土地の安い田舎に一軒家を構えて、週末や休暇を伸び伸びとそこで過ごすという合理的な考え方もあります。普段使わない物やシーズン外れの衣類などは田舎の家に置いておき、必要最小限の物だけ身の回りに置いて生活すれば、狭いスペースでも充分なのですから。
雄大な八ヶ岳。美しい山々の景色は、山梨ならではの魅力の一つ
今、都会で働く若い世代に、農業への関心が高まっているのはとても喜ばしいことです。日頃は最先端の企業で働きながら、週末は田舎で農業をして過ごしたいと考える人々も出てきて、二地域居住というライフスタイルは人生設計の上での一つの選択肢となってきています。
東京で生まれ育った人も多いので、二地域居住で自然と触れ合いながら子供を育て、いずれリタイアしたら親世代は完全移住をし、成人した子供達は都会で仕事をしながら週末になると田舎へ戻るという、新しい循環を作っていければいいなと思います。
山梨は、首都圏に住む人にとって、二地域居住に最適なとても良い場所ですね。
二地域居住の基本的なスタイルは、ウイークデーは都会で働き、週末を田舎で過ごす生活ですから、遠すぎては続かなくなってしまう。前もって計画を立てなくても、「ちょっと行ってくるか」と気軽に出かけられる距離感が大切なんです。
その点山梨は、都心からのアクセスが良く移動時間は2時間程度。まさに理想的と言えます。
しかも、周囲を囲む美しい山々の景観や、四季折々の自然の風景、そして美味しい果物や野菜といった大地の恵みも楽しいですよね。
私自身、週末はこちらで生活していますが、ここには、穏やかでゆっくりとした時間が流れていて、その中に身を置いていると、ああ、自分も自然の生態系の一部だったんだと、素直に思えてくるんです。
そして、秒刻みで動いている都会で生じたストレスが解消され、心が癒され、エネルギーが満ちてくるのが分かります。ぜひ多くの方に、この素晴らしさを実感していただきたいですね。