山梨 Life Style 17 この土地の「農」に溶け込み、ほれ込んで週末ごとにブルーベリー農園を開園。

内藤孝志さん(1955年生まれ) 陽子さん(1957年生まれ)

週末居住派
内藤孝志さん(1955年生まれ) 陽子さん(1957年生まれ)

Naitoh’s Cooking
庭で育てた穫れたての野菜は、その日のうちに食卓にのぼる。サラダにしたり、さっとゆでて和え物にしたり。「シンプルな料理のほうが、野菜の甘さやほろ苦さが味わえますね」。旬のブルーベリーはそのまま食べてもおいしいけれど、ジュース状にしてからゼリーに。たっぷりの生クリームと生の実をのせ、ミントを添えるのが、陽子さんのスタイル。おもてなしにもぴったりのデザートに。

Naitoh’s Cooking

定年を見据えた生き方が「農」につながる

 内藤さんご夫妻が八ヶ岳南麓に家を建てたのは、18年前。2人のお子さんが、まだ小学生のころでした。自然あふれる環境のなか、家族4人がゆったりとすごすための家が欲しかったのです。週末ごとに東京と山梨を行ったり来たりし、お子さんたちも、都会生活とは違った山の暮らしを、とても喜びました。
 「けれど、中学生になると部活や友達づき合いが忙しく、親にはつき合ってくれなくなって(笑)」と孝志さん。
 よくある話です。しかし、ここであきらめなかったことが、今につながっています。「それなら、子供たちは留守番、私たちだけでもここに来ましょう、と、週末ごとの往来を続けました」
 陽子さんは毎年、ブルーベリージャムを1年分作るために摘み取りをしていたことが、「自分で育てたい」という欲求に。園芸店で苗を購入して庭で育てると愛おしくなり、世話をするうちに「農」の楽しさにのめり込みました。1本、2本とふえていき、やがて20本にふえたときに「これでは庭じゅうがブルーベリーになってしまう」と一念発起。たまたま隣の空き地を貸してもらえることになり、植え替えてブルーベリー畑を作りました。しかし、ブルーベリー栽培の経験はありません。疑問は、次々に出てきます。
 そんなとき、近くに見事なブルーベリー畑があるのを見つけて、「教えてください」と門をたたきました。すると、「ありがたいことに、本当にていねいに教えてくださったんです。師事を受けているうちに、八ヶ岳南麓ブルーベリー組合にも入れてもらって、地元の方々と交流しながら育ててきました」と陽子さん。
 7年前には、いよいよ「八ヶ岳ブルーベリーファーム」を開園しました。陽子さんが園主となり、摘み取りや地方発送も始めて、今や20品種のブルーベリーが育っています。
 「素晴らしい師匠に恵まれて幸運でした」と陽子さんは言いますが、地元の人たちに溶け込むことこそが、田舎暮らしの醍醐味。それを、ごく自然に行動に移せたことが、ブルーベリーファームの開園にも結びついたのでしょう。「今後は、もっと八ヶ岳のブルーベリーのよさを日本じゅうに広めたいと、仲間と法人化も視野に入れて話しているんです」
 すっかり、山梨県の人のよう。
 将来のことを見据えたうえで始めたわけではなく、たまたま始めたブルーベリー農園。けれど、お子さんたちも独立し、数年後には定年を迎えるようになった今「今後のすごし方の目標ができました」と陽子さん。
 陽子さんよりも早く定年を迎える孝志さんも「いっそ、早期退職も考え、もっと”農”に重きを置く生活をしてもいいかな、と思っています」。
 東京には、孝志さんのお母さまが暮らしているため、まだ完全に移住することはできませんが、週末だけだった山梨生活も、近々もう少し、ウエイトがこちらに傾く予感がしている、といいます。
 二地域居住を続けているおふたりを見て、「優雅だね」「贅沢だ」と言う人たちもいます。けれど、「東京に家を構えるよりも、はるかにラクに住まいを手に入れることができるし、50代、60代になっても、自分のペースで”農的生活”は始められます。これから定年を迎える方々にも、ぜひおすすめしたい暮らし方ですね」

庭先にブルーベリーを1本植えたのがきっかけ。地元の専門家に教えていただき、今では20品種も。

 なにげなく植えたブルーベリーから農園の夢が広がりました。今や250坪と150坪の畑に、20品種ものブルーベリーが実っています。同じように見えても、実の大きさ、味わいは種類ごとに違います。「もっとみなさんにブルーベリーを知っていただきたいと思います」と陽子さん。ブルーベリーは無農薬で育てられるので、食べる人にも、栽培する人の体にもやさしいのです。

「農」は50代、60代からでも始められます。日照時間が長いから、野菜もみずみずしい!

 内藤さんのように農園を経営しなくても、庭先で野菜を作るぐらいなら、誰でも楽しめます。八ヶ岳南麓は日照時間が長いので、野菜の育ちも抜群。週末しか訪れないので、雑草と共生させ、水をやりすぎない農法で育てます。そのほうが野菜の甘みも引き立つとか。「定年退職してからでも、”農的生活”は楽しめます。栽培方法を教えてくれる学校もありますよ」と孝志さん。

なにげなく植えたブルーベリーから農園の夢が広がりました。

たわわに実ったブルーベリー。夏のひとときだけが生で食べられる限られた期間。

ブルーベリーが実らない季節にも楽しめるよう、手作りのジャムも販売している。

摘み取りを楽しむお客さまに、冷たいお茶を出しておもてなしする陽子さん。

裏庭には栗の木も。季節ごとに実をつける木々に囲まれて、農の楽しさを味わって。

自家用に育てている野菜。日当たりがいいので、大した世話をしなくてもよく育つ。

自宅でくつろぐ内藤さんご夫妻。薪ストーブを焚くと、冬でも半袖でいられる。

内藤さんのように農園を経営しなくても、庭先で野菜を作るぐらいなら、誰でも楽しめます。

 
 
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