この土蔵は昔は衣装蔵だったもの。大きくとった窓の外のデッキから周囲の山が望める。
北川えりさん
1975年生まれ。静岡県の自然豊かな町で育つ。短大を卒業後、自動車教習所の教官を経て、2000年、「スーパー耐久レース」のイメージガールに。以後、テレビ番組『ワンダフル』のワンギャルや、NHK語学講座「中国語会話」など、数多くの番組で活躍している。
畑を耕して自然の恵みをいただく。
古い蔵を受け継いで、心地いい住まいをつくる。
食べること、住むこと
暮らしそのものの意味が大きく変わりました。
テレビなどで活躍するタレントの北川えりさんが、今年4月から家族で暮らすのは、晴れた日には富士山が望める高原の地。ご主人のお父さまの実家の土蔵を改装した、気持ちのいい住まいです。
自然豊かな環境で子育てをしたいというのが、移住を決意したきっかけの一つ。「初めは、小さな家庭菜園を楽しむ生活をイメージしていたんです」。そんななか、たまたま出かけたのが住む人もいなくなったこの場所。残っていた土蔵や畑、果樹園を生かしたら― 夢は一気に動きだしました。
計画がスタートした2年前からは甲府に仮住まいし、野菜づくりを教わることに。それは家庭菜園の域を越え、かなり本格的なもの。今年は1年分の小麦や、300個もの玉ネギを収穫したそう。
「敷地の畑を耕しておイモを植えたり、梅干しを漬けたり。考えてもいなかった暮らしになりました。今は、お味噌を仕込むための大豆も育てているんですよ」
完成した住まいは自然素材に包まれ、吹き抜ける風もさわやか。2歳の長男や近く誕生する次男にも、鳥の声や葉ずれの音、満天の星の美に触れつつ、心豊かに育ってほしい。それが山梨暮らしを楽しむご夫妻のいちばんの願いです。
中心の広場に母屋があったが、昔、火事で焼け、周囲の文庫蔵や道具蔵などが残った。
無垢(むく)の木を使い、漆喰で仕上げた住まい。大工さんや左官さんの仕事ぶりも楽しみだった。
弁護士のご主人も甲府に事務所を置きつつ都心と行き来。ここですごす時間を楽しむ。
設計は、勉強会で共感した「住まい塾」に依頼。大きな無垢材カウンターのキッチンも使いやすい。
正面にはもともと蔵にあった漆喰の家紋。屋根の上には、以前からついていた火難避よけの「水」の字の瓦も。
漆喰のしっとりとした美しさが生きる玄関。古い瓦も飾っている。
畑の収穫物も本格的!
1.びっしりと葉をつけた赤ジソと青ジソ。今年は赤ジソ6㎏分を使ったシソジュースも作った。2.長男も大好きなミニトマト。3.まだ小さなキュウリ。毎日グングン大きくなる。4.ナスも秋までの食卓で大活躍してくれる。
玄関を入ったところに造った土間。畑の収穫物を置いたり、家族の自転車などを置く場所。
育てた小麦と梅の実の天然酵母を使ったピザ。チーズとソーセージ以外、すべて自家製!
2階ももとの土蔵の柱や梁を生かしたデザイン。寝室やご主人の書斎もある。
敷地内の別の土蔵に干した玉ネギは、今年収穫したもの。1年間買わなくても済む量が穫れた。