指圧師の井上達也さんとパティシエールの有希さん。東京で暮らしていたお二人が地方移住を決めたのは、『古民家で、誰もがホッとできるような指圧院とカフェを営む』という夢を叶えるためでした。
「山梨に注目したきっかけは『太陽のマルシェ』でした。美味しい野菜や果物があるのでよく訪ねていたんですが、あるとき主催者や出展者と交流する機会に恵まれて。
お話からとても住みやすそうな様子が伝わってきましたし、東京に近いことや災害が少ないことにも魅力を感じました」と有希さん。
その後、やまなし暮らし支援センターでのアドバイスに従い、季節ごとに山梨に通い甲州市や北杜市のお試し住宅に滞在しては県内を見て回ったそうで、「まだ赤ちゃんだった長男を抱いて真夏の甲府市街を歩いたり、真冬の北杜市で寒さを体験したりもしたんですよ」とにこやかに話します。

　一方、「『韮崎市が住みやすいらしいよ』と教えてくれたのは、都留市出身の友人でした。
調べてみると、子育て支援センター『にらちび』や『アメリカヤ』などおもしろそうなトピックがたくさん出てきたので早速来てみたんです」と話すのは達也さん。
『にらちび』で子どもを遊ばせながら保育園や子育てについて相談したり、街の中を歩いて環境を確認したりしながら、「ここは良さそうだ」という思いがどんどん膨らんでいったと言います。

　最後の一押しになったのが、韮崎市の定住促進住宅。
「案内してもらった空室は心地よく、窓からは雄大な富士山が見えました。それを見た瞬間、『ここに住みたい！』と」。一気に二人の気持ちが固まって、2019年2月に入居しました。

「おけたく指圧院」を開業し、
指圧の仕事をしています。

　以前から自営していた出張専門の指圧院を続けようと、「おうえん（応援）します」「けんこう（健康）で」「たの（楽）しい」「く（暮）らし」の頭の文字を取った「おけたく指圧院※」を開業し、ご自宅やオフィス、介護施設、イベントなどで指圧を提供してきました。山梨には縁がなく飛び込み営業からのスタートでしたが、お得意様も増え、順調に事業を続けることができています。

2020年夏、自宅を改装して施術スペースを整備しました。コロナウイルス感染症対策の観点から現在はプレオープン期間としており、新規のお客様はご紹介の方のみとさせていただいていますが、終息後は出張とのバランスを取りながら、一人でも多くの方の心身の健康づくりをお手伝いしていきたいと考えています。

　一方、6月に次男を韮崎市内の産婦人科医院で出産した妻も、子育てのかたわら「女性のための起業セミナー」を受講するなど、カフェの開店に向けて少しずつ準備を進めています。来年4月から次男も長男と同じ保育園に通園できることが決まりました。春からは、二人の夢に向かっていよいよ本格始動します。

おけたく指圧院HP https://www.oketaku.com/

リフォームした古民家で、
伸び伸びと男の子を育てています。

東京にいた頃は音が気になって子どもを怒ることが多く、それが僕達のストレスにもなっていましたが、ここでは走り回ってもジャンプしても大丈夫。
息子を自由に遊ばせてやることができ、家族全員が伸び伸びと心豊かに暮らしています。

　次男が生まれたばかりなので、休日は「にらちび」へ遊びに行ったり、アメリカヤ５階にあるパブリックスペースで電車を眺めたりして過ごすことが増えています。
韮崎市には気持ちの良い公園がたくさんあるので、次男が歩けるようになったら家族で遊びに行くつもりです。