小さなコミュニティで実現する大きな夢

　新天地を求めて西湖に来た7年前。まずは人間関係を作ろうと、自らもお世話になった「富士山暮らし応援隊」に加入し、活動を始めた西村さん。「地元企業や役場職員の有志が集まり、体験ツアー等を通して移住をサポートしている富士河口湖町の任意団体です。チラシやホームページなどで力になれるのではと考えました」。地域の人とつながったことで信頼を得ることができ、仕事の依頼も徐々に増えていったと言います。

　転機が訪れたのは2021年。全国の観光業がコロナ禍で大打撃を受けるなか、西湖周辺にもその影響が色濃く出ていました。これまで助けてくれた人たちに何か恩返しができないだろうかと考えた西村さん。西湖の新しい特産品を作るため、長年の夢でもあったクラフトビール事業を立ち上げます。本業の傍らで一からビール作りを学び、設備を整えて、酒造免許を取得する…、山積する課題を一つ一つ乗り越えていく過程では苦労も多かったそうですが、「銀行の担当者、ビール作りを教 えてくれたIB BREWINGのみんな、物件を貸してくれた近くのキャンプ場のオーナーや醸造タンクを搬入する際に力を貸してくれた地域の方々、いろんな人の応援のおかげで、オープンすることができました」。

　こうして始まったAIM Brew LAB.。富士山の伏流水で仕込んだ西湖のクラフトビールとして話題になり、富士五湖地域の飲食店やキャンプ場などで販売されているほか、併設のタップルーム＆カフェで生ビールも楽しめます。新しい味にも随時挑戦していて、現在は、富士河口湖町の特産品であるブルーベリーを使ったビールを開発中とのこと。「いずれは、ビール造りで大量に出る麦芽かすを肥料にホップを栽培し、それをたっぷり使ったビールを作りたい」とさらなる夢を語る笑顔は、少年のように輝いていました。

西村さんのおしごと事情

《純一さんの場合》
ホームページや映像制作、グラフィックデザイン、プロモーション活動等により企業活動をサポートするほか、アウトドアシーンに合うクラフトビールを製造販売している。