稲田 真さん 千秋さん 楓くん 取材/2023.11現在
移住のきっかけ
共に首都圏の病院で医師として働くかたわら、週末になると山々へ赴き登山やロッククライミングを楽しんできた稲田真さん千秋さんご夫妻。気が向いたらいつでも登りに行ける環境で山の息吹を感じながら生きていきたいと、北杜市明野町に家を建て、2021年に移住しました。
日照時間日本一で知られる北杜市明野町。稲田さん夫妻のご自宅は高台にあり、眼下には豊かな田園風景が、その先には壮大な南アルプスの山々が広がっています。
東京出身のお二人ですが山梨は身近な場所だったそうで、「渋滞もあるなか時間をかけてこの辺りへ通い、山登りやクライミングをしたり、山岳パトロールに参加したり…。今はすぐ近くにフィールドがあるので、生活の一部として楽しんでいます」と真さん。千秋さんも、「景色も空気も良くて田舎のように見えますが、実は、大きなスーパーも、コンビニも、ファミレスも近くにあるし、東京へのアクセスもいい。山の近くで便利に暮らしたい私たちにぴったりです」と話します。
自分の好きな人生を生きる
移住して3年。この間にお子さんが生まれ、昨年の秋には東京の病院に勤務しつつ二拠点生活をしていた真さんも退職して、親子3人での山梨暮らしが本格的に始まりました。
「僕たちは山岳医でもあるのですが、山で怪我したり、体調を崩したりした場合の救助体制が、欧米に比べ日本はあまり良くないんですね。それで、もっと日本の山をより良い環境にしていくというコンセプトで、地方自治体や警察とも連携を取りながら、採算のとれる山岳医療のシステムを作っていきたいと考えています」と真さん。子育てをしながら近くの診療所に勤務している千秋さんも、ゆくゆくは合流する予定だといいます。
「僕たちは、仕事もプライベートも一括して自分の好きな人生という考え方が好きで、そういう生き方がしたくてここへ来ました。実際こちらへ来てからは、山登りも、クライミングも、仕事も、家族の時間も、すべてがグラデーションでつながっている感じ。理想の生き方に近づきつつある感じがしています」と真さん。お二人の満足そうな笑顔が印象的でした。
稲田さん夫婦のおしごと事情
《真さんの場合》
「山岳医療サポート事務所」を立ち上げ新事業の準備を進めつつ、山岳救助関連の講習や、北杜市と業務提携を結び甲斐駒ヶ岳や編笠岳で山岳パトロールを行うなど多角的に活動中。
《千秋さんの場合》
医師として「ほくと診療所」に勤務し週3~4日診療を行うかたわら、新事業の準備にも携わっている。
ご自宅。広い土間に、山登りやクライミングの機材が整然と収められ、トレーニング用の壁もある。
山岳パトロール中の稲田さん。北杜市と業務提携し、甲斐駒ヶ岳と編笠岳で実施している。