山梨 Life Style 24 息子一家は東京から、両親は大阪から、山梨へ移住。山々に見守られた美しいまちで、観光農園と農家民宿を営みます。/佐藤 寛さん

佐藤 寛さん

佐藤 寛(ひろし)さん(44) 聡恵(さとえ)さん(37) 環(めぐる)ちゃん(2) 喜一郎(きいちろう)さん(79) みどりさん(74)

山梨暮らし支援センターでの偶然の出会いから、南アルプス市への三世代移住が実現。

 都内の衛生関連会社で地球観測衛星の運用を担当していた佐藤寛さん。「2011年に海外への宇宙システム輸出可能性調査担当になってから、急激に忙しくなり、家族との時間も持てなくなりました。当時は年の3分の1が海外出張。不規則な生活に体調も崩しがちで、娘に顔を忘れられ、海外から帰宅すると大泣きされたこともありました。次第に、以前からあこがれていた田舎暮らしへの思いも強くなっていきました」。
2014年4月、実現に向けて動き始めた佐藤さんご夫婦。まずは、生計を立てる手段を探るべく、じっくり話し合ったと言います。「僕は環境学、妻は森林科学を大学院で専攻しており、揃って気候変動などにも興味があったことから環境を配慮しながら自然の中で樹を育てる果樹栽培をやろうと。農業に関わる取り組みには広がりがあり、可能性が大きいと感じました」。
自然災害が少なく、温暖で果実の山地である山梨と岡山を候補地とし、4月半ばには、首都圏から近い山梨は自分たちで、岡山は、大阪に住む寛さんのご両親の実家を拠点として、それぞれ見て回るように。有楽町にあるふるさと回帰支援センターを訪ねたのもこの頃で、「偶然にも、やまなし暮らし支援センターに南アルプス市の農業振興課の方がいらしていて、いろいろと相談でき、農家も紹介していただけたんです」。これが縁で、毎月農業ボランティアとして通うようになったお二人。地域とのつながりができるに従い、家も見つかり、畑も貸してもらえることになりと、話が進んでいきました。そんななか、「息子が本気で田舎暮らしを始めるなら、自分たちも近くに」と、ごく自然に寛さんのご両親も合流。2015年4月、三世代での移住が実現しました。

夫婦揃って県立農業大学校で研修。一から農業を学び、人間関係も広がって、この地で生きていく地盤ができました。

 「農業を始めるにはいろいろな方法がありますが、山梨県には県立農業大学校があり、新規就農希望者を対象にした就農研修も実施しているので、僕らはそこで学ぶことにしました」。引越しの6日後には、揃って北杜市長坂町にある農業大学校に入学したお二人。9か月間の研修はとても充実していたそうで、「同期が30名、加えてその一人ひとりに指導農家が付くんです。おかげで、理論と実践両面から一通り果樹栽培を学べただけでなく、人間関係も広がりました。修了後も、指導農家を訪ねて剪定を教えてもらったり、イベントに参加したりと、お付き合いが続いています。特に、同期の仲間とはラインのグループを作って常に情報交換していますね。年代もこれまでの経歴も様々ですが、皆新規就農を目指す仲間。助け合うこともでき、心強いですよ」。
現在は、専業農家として農作業に勤しむ日々。「1ヘクタールほどの畑を借りることができたので、老木を伐採したり、育苗をしたりしながら、手入れを進めています。成木もあり、今年から多少なりとも収入が見込めますし、4~5年かけてスモモ、サクランボ、桃、ブドウ、ブルーベリーなどを栽培し、完熟した美味しく新鮮な果物を楽しんでもらえる観光農園を作って行ければと。また、農家民宿も営みたいと考えており、準備を進めています。開業の暁には、母におかみをお願いしようと思っているんですよ」。
観光農園は「くだもの日和」、農家民宿は「くだものの郷」と、それぞれ名前も決まり、順調に進む新しい暮らし。ご一家の笑顔が、春の日差しに輝きました。

ご一家のアイドル環ちゃん。「年に数回しか会えなかった孫と、こうして一緒に暮らせるなんて、本当に幸せ」とにこやかに見守るみどりさん。寛さんも、「慣れない農作業に、体が辛いと感じるときもあるけれど、娘と風呂に入り、英語を交えて話をしていると、不思議と疲れが取れていくんですよね」と目じりが下がりっぱなしです。

自宅裏にある2階建ての納屋は、現在修理中。
ゆくゆくは農業ボランティアの方の宿泊所にしたいと考えているそう。

農業ボランティアとして何度も通うなか指導農家の紹介で出会い購入した、約240坪の敷地に建つ7LDKの自宅。敷地の広さを生かし、トイレや東屋、ピザ釜などを作るとともに、ニワトリやヤギを飼ったり、果汁を育てたりして、「みんなで楽しめる場にしたい」とのこと。

自然の多い場所で子育てしたいと考えていた聡恵さん。「ただ、保育園は心配でした。東京では30人待ち、40人待ちが当たり前でしたので。ところが、南アルプス市は待機児童がゼロ。市役所で、明日からでも大丈夫ですよと言われて拍子抜けしてしまいました。ここではおじいちゃん、おばあちゃんもいるので、しばらくは両親に見てもらい、時期を見て入園を考えて行こうと思っています」

 
 
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